「ほのぼの神社アレンジ」というものをご存知でしょうか?
ニコニコ動画で生まれ一部界隈で人気となり、VTuber界でも織田信姫が動画BGMにしたことにより話題となりました。
しかしこの「ほのぼの神社アレンジ」とはどういうものなのでしょうか?
今回は音楽的な部分、そして定義的な部分と解剖してみましょう。
この先他のVTuberも「ほのぼの神社アレンジ」のBGMを使用したときに、いちはやく反応できるようになるかもしれません。
ほのぼの神社アレンジとは?
まず最初に、「ほのぼの神社アレンジ」の概要をお伝えします。
「ほのぼの神社アレンジ」の曲が使われている動画
名探偵コナン
この織田信姫の動画の冒頭部分の曲を聴いてみてください。
名探偵コナンの有名なBGMが流れていると一瞬思ったのですが、ビミョーに違います。
これが、「ほのぼの神社アレンジ」した名探偵コナンのBGMです。
ワンピースで聴き比べ
大人気漫画 ワンピースの冒頭の曲に着目してみましょう。
まずは原曲です(0:11~0:42)。
そして、こちらが「ほのぼの神社アレンジ」された曲です(0:00~0:32)。
ビミョーに違いますよね(笑)
「ほのぼの神社」のアレンジ曲と「ほのぼの神社アレンジ」された曲
「ほのぼの神社アレンジ」とは、『「東方の曲をアレンジしてできた曲」をさらにアレンジすることを言います。
ですが、ここで気をつけないといけないのが、
「ほのぼの神社」のアレンジ曲と、「ほのぼの神社アレンジ」された曲があることです。
つまり、
- 「東方の曲をアレンジしてできた曲」を主役にするパターン
- 「東方の曲をアレンジしてできた曲」を脇役にするパターン
の2つがあります。
①に当てはまるのが、「ほのぼの神社」のアレンジ曲。
②に当てはまるのが、「ほのぼの神社アレンジ」された曲。
上で紹介したような、織田信姫がよく使っている「ほのぼの神社アレンジ」は②の脇役パターンです。
は?って感じですよね。
分かりやすくなるかどうが分かりませんが、料理に例えていいますね。
ラーメンは「中国から伝わった麺料理」をアレンジしてできた日本生まれの麺料理だと言われています。
このラーメンは2パターンのアレンジ方法で料理することができます。
1つが、ラーメンを主役にしてアレンジする方法。
もう1つが、ラーメンを脇役にしてアレンジする方法。
ラーメンを主役にすると、例えば「台湾風」とか「韓国風」とかにアレンジして「台湾風ラーメン」とか「韓国風ラーメン」が作れます。
ラーメンを脇役にした場合は、例えばラーメンを刻んでコロッケの具材にして、コロッケを作るみたいなかんじです。
ほのぼの神社のアレンジ概要
まとめると、
STEP1:原曲がアレンジされる
STEP2-1:「原曲がアレンジされてできた曲」をメインにしてアレンジする
STEP2-2:「原曲がアレンジされてできた曲」を別の曲に忍びこませる
というようにして、「ほのぼの神社」のアレンジ曲と、「ほのぼの神社アレンジ」された曲が出来上がります。
料理で例えた場合、
STEP1:「中国から伝わった麺料理」をアレンジして、ラーメンに
STEP2-1:ラーメンを「台湾風」にアレンジ
STEP2-2:ラーメンをコロッケにアレンジ
となり、台湾風ラーメンと、ラーメンが入ったコロッケが出来上がります。
以上のことを頭に入れて、読み進めるとなんとなくわかると思います。
「ほのぼの神社」の誕生について
ここでは、
STEP1:原曲がアレンジされる
についてお話します。
「ほのぼの神社」アレンジ元の曲とは?
「ほのぼの神社」の元になったのは、西方Project「秋霜玉」博麗霊夢のテーマ「二色蓮花蝶~Ancients」のという曲です。
この曲のサビ部分をアレンジした曲が「ほのぼの神社」というアレンジ曲です。
「ほのぼの神社」というアレンジ曲
「ほのぼの神社」というアレンジ曲を製作したのは、「再調整の人」という名前で活動をしていた編曲者です。
公開当初、この曲単体は公開されていませんでしたが、その後編曲者自らが公開する運びとなりました。
それをきっかけに「ほのぼの神社アレンジ」が広まっていったわけですね。
ほのぼの神社が初めて使われた動画
なぜ「神社」なのか?
「ほのぼの神社」の『神社』というワードはどこから来たのかということですが、
東方Projectの主人公である博麗霊夢は巫女さんで、神社で働いていることから「神社」というワードが使われています。
じゃあ『ほのぼの』というワードは?
「ほのぼの神社」を聴いてもらうと分かるのですが、ほんのりとした温かさを感じますよね。
だから、「ほのぼの」なんだと思います。
そもそも曲のアレンジって具体的に何なの?料理に例えて教えて!
「ほのぼの神社」というアレンジ曲が、さらにアレンジされたわけですが、そもそもアレンジとは何でしょうか?
まずは曲のアレンジ・「編曲」という言葉について説明します。
実はこの言葉には複数の意味があります。
- 主旋律に対して楽曲へ伴奏をつけること
- 主旋律そのものに手を加える(変奏と呼ぶ)
- 曲のイメージやスタイルを変化させる
料理に例えて説明します。
主旋律:メインのメロディーのこと。
①主旋律(メロディー)に対して楽曲へ伴奏をつけること
①の意味の編曲は、いわゆる「味付け」をすることです。
楽器や音が食材、作曲が調理にあたります。
料理は最後の味付けによって甘くなったりしょっぱくなったりしますよね。
例えば肉じゃがであれば、ほんのり甘めの味付けの肉じゃがや、濃い辛目の味付けの肉じゃがなど、味付けによって変わってきます。
どんな味付けをして、その作品に対してどのような認識をさせるか、というのが編曲の役割になります。
②主旋律そのものに手を加える
②の意味の編曲は、完成された料理を別ものにすることです。
例えば肉じゃがを作りました。
しかし余ってしまった。
でも肉じゃがは食べ飽きた。
そんなとき、カレールーを投入してカレーにしてしまう。
このように一つ手間を加えてベースの料理を活かしつつ別の料理に変化させることです。
③曲のイメージやスタイルを変化させる
③の意味の編曲は、その料理に対する認識を変える味付けをすることです。
例えば醤油です。
醤油にお酢を加えると餃子のタレになりますし、ネギやごま油を加えれば別のタレになります。
このように、醤油という一つの完成されたものですが、加えるものを変えると別のタレに変身してしまうのです。
「こういう楽しみ方もあるのか」と曲の認識を変化させることも編曲です。
編曲に使う「コード進行」ってなに?
コード進行というものがある
編曲には専門的な知識を多く必要とします。
そのなかのひとつが「コード進行」です。
「ほのぼの神社」のアレンジ(編曲)をなんとなく理解するには、「コード進行」という考え方に軽く触れておいてほうがいいですね。
コードというのは複数の音を組み合わせて作る「和音」のことです。
和音:2つ以上の音を同時に鳴らして合成された音のこと。
コード進行というのは「その曲の演奏に関する指針」のようなものです。
ただやみくもにコードを連ねても、それは曲として成り立ちません。
セオリーが存在するのです。
コード進行を料理に例えると?
例えばカレーを作るとします。
野菜を切る→炒める→鍋で肉と一緒に煮る→ルーを投入して煮込む
大雑把ですがこれがカレーを作るときのレシピですね。
これを
野菜を切る→鍋で肉と一緒に煮る→ルーを投入して煮込む→炒める
とか
野菜を切る→野菜を捨てる→麻婆豆腐の元を入れて煮込む
とか極端な例ですが、こんなことをしてもカレーは完成しません。
で、料理でいうところのひとつひとつの調理工程が、音楽でいうところの「和音」です。
調理と同様に、和音を適当に並べても曲は完成しません。
つまり、用意された食材、調理工程を正しく完成に導くのがコード進行というわけです。
ほのぼの神社のメロディーに伴奏を加える
ほのぼの神社のメロディー
この動画は「ほのぼの神社」のメロディー部分のみを抽出したものです。
鼻歌で歌う部分です。
メインとなっているところなので、「ほのぼの神社」だなぁと感じる部分ですね。
メロディーに伴奏とコードを付け加える
「ほのぼの神社」の主旋律(メロディー)に伴奏が付け加わると、次のようになります。
上の動画の右側がメロディー部分で、左側(コード)と真ん中が伴奏部分です。
伴奏:メロディーを引き立たせるための、補助的な演奏
こんなかんじで、「ほのぼの神社」の曲が作られています。
「ほのぼの神社」のコード進行やメロディはシンプル!
「ほのぼの神社」のコード進行もメロディも特に複雑なものがない、シンプルなものです。
しかし、単純ゆえに様々な編曲をして遊ぶこともできます。
簡単に作れるチャーハンを例にあげましょう。
チャーハンが「ほのぼの神社」です。
高菜を加えても美味しいですし、レタスを加えてシャキシャキの食感を加えてもいいです。
少し難易度を上げてあんかけチャーハンにすることもできます。
このように、シンプルでありながら様々なアレンジ方法があるのが「ほのぼの神社」なんです。
「ほのぼの神社」をアレンジさせる
伴奏やコード進行を変えたり、メロディー部分を使ったりして、曲がアレンジされます。
「ほのぼの神社」の伴奏やコード進行を変えることで、「ほのぼの神社」のアレンジ曲とができます。
そして、「ほのぼの神社」のメロディー部分を一部他の曲に紛れ込ませることで、「ほのぼの神社アレンジ」された曲が作られます。
「ほのぼの神社」のアレンジ曲
ここでは、
STEP2-1:「原曲がアレンジされてできた曲」をメインにしてアレンジする
についてお話します。
※「ほのぼの神社」の曲をできるだけ残して、伴奏を部分的にアレンジするということ
「ほのぼの神社」を聴いてみる
まずは原曲と言っていいか分かりませんが、原曲の「ほのぼの神社」をもう一度聴いてみましょう。
アレンジ曲の数だけアレンジがあるといっても過言ではありません。
ラーメン屋の数だけ違う味のラーメンがあるのと同じです。
「ほのぼの神社」のアレンジ曲と「ほのぼの神社」との違いは?
- 主旋律に対して楽曲へ伴奏をつけること
- 主旋律そのものに手を加える(変奏と呼ぶ)
- 曲のイメージやスタイルを変化させる
アレンジ曲によっては②の方法だったり③の方法だったりと様々ですが、「ほのぼの神社」のアレンジ曲は③が多いです。
「ほのぼの神社」の伴奏やコード進行を変えることで、「ほのぼの神社」のアレンジ曲が作られています。
ほのぼの神社をアレンジした曲
「ほのぼの神社」をアレンジした曲を3つ紹介します。
昔のゲームで流れてそうなピコピコ風アレンジ
カフェで絶対流れない不安になるボサノバ風アレンジ
アレンジして逆に、二色蓮花蝶(原曲)に近くなったラスボス戦風アレンジ
もっと「ほのぼの神社」のアレンジ曲を聴きたい場合は下のリンクからどうぞ。
※純粋な「ほのぼの神社」のアレンジ曲と「ほのぼの神社アレンジ」された曲が混在しているので注意が必要です。
「ほのぼの神社アレンジ」の具体的なコード
ほのぼの神社アレンジをしてみたい人は上のコードを参考にしてみてもいいかもしれませんね。
「ほのぼの神社アレンジ」した曲
ここでは、
STEP2-2:「原曲がアレンジされてできた曲」を別の曲に忍びこませる
についてお話します。
※「ほのぼの神社」のメロディーを使って、「ほのぼの神社」以外の曲をアレンジするということ
「ほのぼの神社アレンジ」した曲と「ほのぼの神社」との違いは?
- 主旋律に対して楽曲へ伴奏をつけること
- 主旋律そのものに手を加える(変奏と呼ぶ)
- 曲のイメージやスタイルを変化させる
ここでは②と③の方法が使われています。
「ほのぼの神社」のメロディー部分を一部他の曲に紛れ込ませることで、「ほのぼの神社アレンジ」された曲が作られます。
ほのぼの神社アレンジがされた曲
「ほのぼの神社アレンジ」が施された曲を3つ紹介します。
エヴァの次回予告を「ほのぼの神社アレンジ」
米津玄師の「アイネクライネ」を「アイネ shr ine」に「ほのぼの神社アレンジ」
ベートーヴェンの「運命」を「ほのぼの神社アレンジ」
NEWS ZERO
もっと「ほのぼの神社」のアレンジ曲を聴きたい場合は下のリンクからどうぞ。
※純粋な「ほのぼの神社」のアレンジ曲と「ほのぼの神社アレンジ」された曲が混在しているので注意が必要です。
どのような曲が「ほのぼの神社アレンジ」されているの?
アレンジされやすい曲のジャンル
「ほのぼの神社アレンジ」の動画は、5000曲以上存在します。
そのジャンルはJPOPからゲームミュージック、アニメソングに至るまで様々です。
どのような曲でもアレンジできるため、「アレンジされやすい曲のジャンル」というのはないといえるでしょう。
難しいの?誰でもできるの?
難しいかどうかでいうと、「難しい」でしょう。
しかし編曲の知識を持っている人であれば、その難易度は低くなるといえます。
例えるとすでに完成されたカレーがあります。
これを好きにアレンジして料理を作ってください!ということです。
料理の知識や技術がある人であれば、少しアレンジしてカレー南蛮やカレーチャーハンを作ることができます。
しかし、なんの知識もない人だと、完成されたものにどう手を加えればよいか分かりません。
少々の手間はかかりますが、知識があればできる、というのが結論になります。
レギュレーション違反ってなに? 悪いことなの?
「ほのぼの神社アレンジ」を辿っていくと、「レギュレーション(規則)違反」という単語が目に入る機会が増えます。
簡潔に言うと「ネタのようなもの」です。
一応形式ばったレギュレーション(規則)があるのですが、その全てが基本的にネタです。
つまり、破っても特に罰則や誹謗中傷はありません。
しかし、ネタといえど作られたレギュレーションが存在するので、紹介しましょう。
①動画サムネイルについて
動画のサムネイルは、「ぷはーRIM」の画像、もしくはコラ画像が挿入されていること
※ぷはーRIMの元画像
②楽曲タイトル
楽曲のタイトルには、拡張子(.mp4等)をつけること
.mp4や.wavなど存在する拡張子を使っていることもあれば、存在しないものを拡張子っぽく表記している。
③原曲未使用フレーズ
「ほのぼの神社」に使用されているメロディのみを使用してアレンジ曲を作ること
原曲の「二色蓮花蝶~Ancients」のメロディは使用してはいけない。
繰り返しになりますが、違反しても罰則や誹謗中傷のもとにはなりません。
ほのぼの神社の魅力は?
なぜ流行ってるの?
こちらは考察になりますが、ほのぼの神社アレンジが流行した理由は以下の2つと考えます。
- 「東方Project」という一大コンテンツが大元にある
- ニコニコ動画という特殊なプラットフォーム
①に関しては、元であるコンテンツが巨大であればあるほど、その派生作品が目に止まる機会が増えるからです。
②に関しては、他の動画投稿サイトとは毛色が違う「ニコニコ動画」にて公開されたという点です。
そして、何よりもこの曲が生まれた動画が「ニコニコ動画」で大きくネタにされたというのが一番の理由でしょう。
作品の視聴者が増え、それに伴いBGMへの興味も出る。
そのBGMが公開されると、楽曲アレンジをする投稿者が増える。
ネットの流行の発端というのは、何から始まるか分かりません。
今回の件に関しては、「【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーkiss」の動画の面白さが全ての発端であると考察します。
面白いのか?
様々なアレンジ動画が面白いと感じるかどうかは、元動画を楽しめるかどうかにかかっていると思います。
ネットコンテンツのノリが楽しめる人であれば、これ以上面白いものはない、と思えるほどの面白さです。
反対に、音楽をかじったことがあり、元動画を知らない人であれば「なんでこんなものが人気なんだ? 」と思う方も多いでしょう。
まとめ
今回は「ほのぼの神社アレンジ」について説明しました。
音楽知識が必要となり、実際に作るのは未経験からだと少し難しいと思います。
これをきっかけに編曲、音楽への興味を持つというのもよいのではないでしょうか。
しかし、これはあくまで3次創作にあたるものです。
法律に抵触などしないよう、個人で楽しむ範囲で作っていきましょうね。